: 太陽表面の振動:太陽の唸り声
: 太陽の内部を音波で見る
: 太陽の内部を音波で見る
太陽は、多面的に研究されてきたが、にも拘わらず、
多数の重要な問題が謎のまま残されている。幾つかを列挙してみると
- 太陽ニュートリノ問題:太陽の中心部では、水素原子核がヘリウム原子核に変わる
核融合が起きてエネルギーが発生しているが、その際ニュートリノという素粒子も発生す
る。発生したニュートリノは直ちに地球に到達するが、その量を測定すると、測定値は理
論値の約半分でしかない。一方発生したエネルギーは、約1000万年かかって太陽表面に
達し、それが日光として地球に注がれている。すなわち、太陽からの光は、1000万年前
の太陽中心の様子を反映しているものに過ぎないが、ニュートリノは今の太陽中心の様子
を教えている。ニュートリノの測定値が少ないという事は、今現在は、我々が
考えているほどには、太陽中心で核融合があまり起こっていないのかも知れないと
いう事すら示唆している。或いは、ニュートリノの理論に大きな変革が必要なのかも
知れない。
- 太陽内部の自転:太陽や星の自転は表面の様子しか測ることが出来ない。
中心部が高速自転していると星の構造や進化にも影響する
だろう。果たして太陽内部はどのように自転しているのだろうか?
- 太陽の自転の進化:太陽が誕生してからその進化の過程
で、中心部は収縮していく。フィギュアスケートのスピンをする時、腕の広がりをすぼめ
て速くスピンをさせるが、同様に太陽の中心部も収縮するにつれ、回転は速くなっていく
だろう。
一方表面では、太陽風が外に吹き出しているので、次第に回転が遅くなっていくだろう。
果たして、どうだろうか?
- 非一様自転:星はガスなので、一様に自転している必要はない。実際、太陽の表面
の自転は緯度と共に遅くなっている。
なぜだろうか?3次元的には流れはどうなっているのだろうか?
- リチウム問題:太陽の表面の化学組成を調べると、リチウムの量が、太陽系の
組成比に比べて少ない。これは、リチウムが、核融合を起こして減少した
のだと考えられるが、表面付近では、温度が低すぎて、リチウムの核融合は起
きない。核融合が起きる程に温度が高い深い層に、なんらかのメカニズムで運ばれたに
違いないが、そのメカニズムは説明出来ていないし、進化理論にも考慮されていない。
- コロナ:表面温度6000度の光球上空に、100万度のコロナがどうして存在
するのか?光球とコロナ間にある彩層の構造は、どうなっているのか?その構造や不
均一性に磁場がどう関与しているのか?
- 太陽活動:黒点周期に代表される太陽活動が、なぜ起きるのか、なぜ磁場が反
転するのか?これ
は、太陽の外側半径にして約3割で起こっている対流と自転の相互作用で磁場が作られ、
その作用が11年周期で変化するためであると考えられている。
この考えが想定する対流層内の自転
は、大雑把に言うと、自転軸からの距離に依っている。
このような自転と黒点活動を説明する考えを検証出来るだろうか?
- 種々の表面現象:黒点は一体何なのか?白班は、スピキュールは、...?
フレアのエネルギー解放機構は何か?
これらの問題の多くは、太陽の内部に関係している。表面現象ですら、その
元を質せば、その本質も太陽の内部にある。とはいえ、残念ながら、従来は、
太陽内部を探査するなどは不
可能であった。しかし、事態は、太陽の表面の振動を使うことによって、
大きく変わった。今や、
我々は太陽内部を「見る」新しい眼を持つようになったのである。