スイカを叩いてその音色を聞き分け、食べごろを調べる。これは音を使って、
スイカの内部を直接目で見ずに診断している訳である。これと同じ原理を使って、
太陽表面の振動を観測・解析して、太陽の内部を探る研究(「日震学」と呼ぶ)が
進んでいる。その結果、音波を使って太陽の内部を透視することが出来るようになった。
これまでの主な成果は、
- 太陽表面では対流が起きているが、対流層の深さが明らかになったこと、
- 太陽中心部では水素の核融合が起きていると考えられているが、確かに水素が減少していることが明らかになったこと、
- 核融合に伴って発生するニュートリノ量をこの方法で見積もれるようになり、
結果は、測定値より多く、深刻な問題であることをはっきりさせたこと、
- 内部での自転の様子を明らかにしたこと、
- 内部の音速や温度の様子を明らかにしたこと、
などである。
こうして明らかになった太陽内部には、標準的な太陽モデルと比べて、対流層の直下
に、音速が速い層がある。この層で音速が速いのは、自転の様子の急激な変化に伴う、
攪拌のためではないかと、考えられた。今回、学会で発表する研究で、元素組成も、
対流層直下で、非一様になっていることが判り、攪拌が起きているらしいこと、が確認
された。
今回の研究発表だけでなく、新しい研究である「日震学」全般について紹介する。