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: 太陽振動を捉える : 太陽の内部を音波で見る : 太陽に関する謎

太陽表面の振動:太陽の唸り声

西瓜を叩いて、その音色を聞き分けて西瓜の熟れ具合を知ることをご存知であろう。 これは、音波という振動を使って西瓜の内部を診断してい る訳である。この原理を使って、太陽内部を探る事が出来る。 太陽面ではいつも約5分ぐらいの周期の振動が起こっている。太陽の 表面近くで起こっている対流運動によって太陽全体がいつも叩かれているから振動して いるのだと考えられている。この波動を使って太陽の内部を探る研究を、 「日震学」と呼ぶ。 観測されている振動は、ガス圧力を復元力とする音波である。振動を使って太陽内部を 探るというのは太陽の音色を聞き分ける事なのだ。

図 1: 太陽内部を伝わる音波の様子。同じ振動数でも、細かなパターンの音波モー ドは太陽の比較的外側の層で反射され、深い領域まで達しない。それに対し、大きな パターンの音波モードは、かなり中心領域まで達する。
\includegraphics [width=9cm]{ray.ps}

太陽面から音を下に向けて発したとしよう。中の方が温度が高く音速も速いから、音波 は段々外向きに屈折して進み、ある深さまで達すると、遂に外に向けて反転してしま う。表面まで戻ると、再び反射されてまた下に反 転する(図1)。こうして反射を繰り返す波の位相が丁度うまく合った場合が、太陽 の固有振動である。図2に、太陽の表面の固有振動パターンの例を示す。図1に 見るように、細かなパターンの音波モードは太陽の比較的外側の層で反射され、深い領 域まで達しない。それに対し、大きなパターンの音波モードは、かなり中心領域まで達 する。