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: 長期変動 : 太陽の内部を音波で見る : 走時曲線を使った局所的日震学

何が太陽を揺すっているか

そもそも太陽はどうして 沢山のモードで振動しているのだろうか?太陽が自然に振動しているという事実そのも のも太陽の内部を調べるのに役に立たないだろうか? 太陽振動の励起機構は、現在は、対流層での乱対流による音波の発生機構であると考え られている。しかし、対流の理論 の方から励起される音波のエネルギーを計算すると、観測的に決めたものに比べ、 値自身は何桁も小さいのである。

日震学で使える情報源には3種類ある。一つは固有振動数、もう一つは走時曲線、 それにもう一つがここで述べた 励起機構に関する情報である。このうち固有振動数を情報源として用いる方は、前節ま でで述べてきたように、今や天体物理学としては例外的な精密科学となっている。 他方、励起機構に関する方は、未だに桁さえ合わせるのに苦労している。 励起機構に関する日震学的アプローチが成功すれば、走時曲線による研究と共に、 対流構造を明かすのに有効だと期待される。