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走時曲線を使った局所的日震学

地球の内部構造の研究では、固有振動数よりも、震源からの距離と波の伝播時間の測定 結果(走時曲線)が主たる情報源である。地震学でポピュラーなこの手法でも太陽振動 を解析する試みがなされるようになった。太陽面のある一点で発生した音波は 太陽内部を伝播 して別の点に到達する。到達時間は、音波が伝わる経路の物理状態に依ってい るから、この情報から逆に物理情報が得られる。こうして、光球面より深いところで のガスの運動、温度の斑などが詳細に見えるようになった(図8)。 黒点は磁束管が光球面に 現れた、その切り口だと考えられている。従って、その根は深いところにある筈で、 対流層下部には大元の磁束管が横たわっていると考えるのが自然であろう。このよう な光景を実際に見える様にするのが、走時曲線解析の一つの目標である。

図 8: 走時曲線を使った局所的日震学で見えるようになった対流層の物理。 色の違いは温度の違いを表わし、矢印は流れを表わす。 http://soi.stanford.edu/results/OneYear/figure_09.gif より転載。
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