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太陽振動を捉える

実際に観測される太陽の振動は、これらの固有振動が沢山重なり合ったものである。 振動は、表面の明るさの変化か、運動となって現れる。太陽の音を聞き分けるには、 太陽の表面の明る さか運動を通して太陽面をパターン解析をして、図2で示したような それぞれの固有モードのパターンの成分の強さを求め、その強さの時間変化を見れば良 い。こうして太陽の固有振動が観測 的に求められる。

図 2: 固有モードの太陽表面でのパターンの例。青の部分が振動で膨張(収縮)し ている時、赤の部分は収縮(膨張)している。 色の濃い方が振幅が大きい。青と赤の 境界が節線になっている。 Kosovichev, A. G. et al. 1997, Solar Phys., 170, 43 より転載。
\includegraphics [width=10cm]{solar_mode.ps}

と言っても、事はそう簡単ではない。 個々の振動モードの振幅は極めて小さいからだ。 そんなに小さな振幅でも観測・測定出来るのは、振動が周期的だからである。 周期成分を探すには、太陽全面を広く眺める事と、 長時間にわたって観測を続けるという事 が重要になる。 そこで、地上数箇所に観測ステーションを配し てネットワーク観測を行うか、衛星から昼夜の途切れのない観測を行うようになった。 前者の例は、米国国立太陽天文台が中心となって行っているGONGプロジェクト 3であり、 後者は、NASAとESAの共同で1995年12月に打ち上げられた衛星SOHO 4である。いずれも 1996年からフル稼動し始めた。図3にSOHO観測データを掲げる。

図 3: 太陽振動の観測データ。 http://sohowww.nascom.nasa.gov/gallery/MDI/mdi002.gif より転載。
\includegraphics [width=9.5cm]{MDI-doppler.eps}