next up previous
: 自転と攪拌 : 太陽の内部を音波で見る : 太陽内部のスナップショット

太陽内部の自転診断

太陽が自転している事が振動数に影響する。 そこで、詳細に解 析すれば、自転の様子が深さや緯度の関数としてどんな風になっているかを求める事 が出来る。図6は、最近の結果を、太陽を自転軸を含む様に輪切りにした面上で、 自転角速度($2\pi$をそれで割ったのが自転周期である)を等高線 で表わしたものである。(もっと深い領域の自転角速度が示されていないのは、意味の ある結果を引き出すのが難しいからである。)

図 6: 太陽の振動を解析して明らかになった、太陽内部の自転角速度。 破線($r/R=0.7$)が対流層の底で、この層で角運動量分布も急に変化している 事が判る。 関井 隆 1998, 天文月報, 91, 92 より転載 (Schou, J. et al. 1998, ApJ, 505, 390 参照)。
\includegraphics [width=7cm]{internal-rot.ps}

この結果は、驚きと戸惑いをもたらした。 予想とは異なり、対流層内の自転は、大雑把に言うと、回転速度は自転軸からの距離 に依っているのではなく、内部の輻射層は、ゆっくりした 剛体回転だったからである。また、対流層内の自転角速度の変化率も、 考えられていた程には大きくなかっ た。これは、太陽活動を説明する理論や内部自転に関するナイーヴな考えに 大きな修正を 迫るものである。これが契機となって、より詳しいモデルの計算や基礎過程の再検討 が行なわれるようになってきている。日震学による自転診断のより正確化も必要であろ う。