next up previous
: 走時曲線を使った局所的日震学 : 太陽の内部を音波で見る : 太陽内部の自転診断

自転と攪拌

この 対流層の非一様回転から輻射層のほぼ一様な回転への遷移層は非常に薄い。このような 遷移層では特異な流れが期待されよう。もしこの様な流れがあれば、対流層と物質 を混合させ、図5に見られる対流層直下の音速のコブを説明出来るかも知れない。 また、この流れはリチウムを対流層から温度の高い輻射層に運び込むのにも 有効であろう。1章で述べたリチウム問題の解決に有効かも知れない。 また、そのような特異な流れが乱流 を生じ、角運動量を輻射層から効果的に 抜き取るのにも有効であるとの考え方が出てきている。 今回、学会で発表する研究で、元素組成も、遷移層で、非一様になっている事が判り、 攪拌が起きているらしいこと、が確認された(図7)。

図 7: 太陽の振動を解析して明らかになった、遷移層付近の水素分布。 物理パラメーターを変えて解析した4つの場合について示したが、 いずれも上に凸な曲線になっている。 攪拌を考慮しない太陽モデル(典型的な2つのモデルについて図示した。 下に凸な2本の曲線)とは、明らかな違いが見られる。
\includegraphics [height=14cm,angle=270]{xprofile-microphysics.ps}